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月夜の蟹 [詩作]

 青黒い 空間に 冷たく 白く 浮かぶ まるい月

 
 白い 優しげな 光を 青緑色の 澄んだ 水面に 映している


 ほかりと 浮かび上がる 影 ひとつ

 
 朱赤をした それは はさみ手を もつ 蟹 ひとつ

 

 
 白く 冷たい 月を 見上げて 彼は 嘆く

 
 あの 月の 傍まで 行きたい
 
 
 出来る ことなら 光の 速さで


 けれど うつつには 私は プカリ プカリと

 
 水面に 浮いて いるだけさ


 
 せめて 命尽きて 純なる 魂だけと なるなら

 
 月の もとへと 行けるだろう


 月の 乙女に 初めて 逢えるだろう

 
 恋の 告白を する だろう



 青黒く 広がる 宇宙の 空間に 

 
 月は きょうも 冷たく 浮かんでいる


 

 水の上には 何時の間にか


 蟹は いなく なっていた

 
 朱赤をした はさみ手 だけが

 
 水面に プカプカ 浮いていた


(2008/07/20)


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