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ケロリン。(後編) [企業史・広告史]

@昨日の記事の後編です。


☆ケロリン桶の事始~銭湯系とコラボ~☆


@銭湯やゴルフ場の浴室、温泉施設などで見かける黄色い桶。子供が幾ら蹴っ飛ばしても、腰掛けとして使っても全くびくともしない。この桶は、その驚くべき頑丈さから別名「永久桶」とも呼ばれているとか。

@この「ケロリン桶」について、その事始を、出来得る限り簡潔に述べる。…それは1963年、東京オリンピックの前年のこと、内外薬品に睦和商事という会社の当時の営業スタッフ(現社長)から「湯桶にケロリンの広告を入れてみませんか?」と持ち掛けられたのがそもそもの始まり。

@このケロリン桶が登場するまで、銭湯などの桶といえば、檜やヒバなどの木板を金属の箍で丸く留め、底に丸い板をつけた木桶が主流だった。しかし1960年代から最近増殖の温床となりやすいなど衛生上の問題が取り沙汰され始めていた。

@そんな時期に「湯桶を使った広告は、多くの人が目にするはず」ということで話がまとまり、丈夫で軽いポリの桶の内側に丸いレイアウトで「頭痛・神経痛・生理痛・歯痛・ケロリン・内外薬品」と入れた。ちなみに初期の桶の色は黄色ではなく半透明の白であった。今は「頭痛・生理痛・歯痛・ケロリン・内外薬品」となっている。

@この桶は最初、東京駅八重洲口にある『東京温泉』に置かれた。以来、瞬く間に普及していき、今では国内津々浦々の銭湯、温泉施設、ゴルフ場の浴室、スーパー銭湯などに置いてある。また、銭湯が少なくなった今も、年4~5万個のペースで納入され続けている。

@「ケロリン」の名入りグッズの中で、この桶はもっともよく知られたものであろう。私は時折「東急ハンズ」や「LOFT」などのバスグッズコーナーを訪れることがあるが、そこにケロリン桶を始め、例の黄色いケロリン名入りグッズを見ると、何故か笑ってしまうのだ。お風呂マットや、バスタオルやフェイスタオル、キーホルダーが作られ、売られている。

@兎にも角にも、黄色い地に「ケロリン」の赤いロゴがでかくて目立つのだ。こういう銭湯系とコラボレーションした、見事な広告戦略により、ケロリンの名は、戦後においても、押しも押されもせぬものになったのだ。


☆ケロリンのCMソング~メディア利用の広告戦略~☆


@内外薬品はまた、ラヂオやTVを使ったコマーシャル戦略をも展開した。その中で有名なものが、下に紹介するケロリンのCMソングである。


   ・ケロリンCMソング・

   作詞 サトウハチロー

   作曲 服部良一

   歌 楠 トシエ


 1. 雪空 雨空 くもり空
   
   頭のいたみに 歯のいたみ
   
   どうにもならない そのつらさ
   
   ケロリン一服  お水でグィー
   
   ケロリン  ケロリン 

   青空 晴れた空

 
 2. となりに向いに うらの人

   こしのいたみに 神経痛

   いそいで 教える 窓と窓

   ケロリン一服  お水でグィー
  
   ケロリン  ケロリン
   
   どなたも 笑い顔


 3. おととい昨日に また今日も
  
   つづくいたみに 部屋の中
   
   ちっとも晴れない 胸のうち

   ケロリン一服  お水でグィー

   ケロリン  ケロリン
 
   唄までとんででる


@最近はこの短縮ヴァージョンが、時折ラヂオやTVで放映されている。
 

☆まとめ~ケロリンの未来~☆

@以上、ケロリンについてここまで記してきたが、これほどまでに(グッズまで出して!)名前や効能が浸透した大衆薬も珍しい。内外薬品は最近、ケロリン以外にもけっこう姉妹品を研究・開発し、販売しているそうな。時代の変化に伴い、最早ケロリン一辺倒ではやって行かれなくなったのだ。イブプロフェン製剤の「ケロリンIBカプセル」、水なしでも飲める「ケロリンチュアブル」、かゆみを押さえる皮膚用薬品「ダイアフラジン」シリーズなど、病状や好みに合わせてさまざまな薬品を売り出している。

@ケロリンはこの先、あのレトロなパッケージのままに、効能も変えずに、製造販売されていくだろう。キャッチフレーズの通り「のんでよくきく頭痛薬」故に、この先もずっと愛されつづけるに違いない。
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