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白熱電球、ついに現役引退。 [雑文]

@かの発明王エジソンによって誕生以来、120年間も世界中で愛されつづけたアイテムが、今、時代の主役にふさわしい“新人”にとって代わられようとしている。

@そう!あの“白熱電球”が、例の地球温暖化に伴う省エネやCO2削減の名目で、今般新しく登場した「LED電球」に主役の座を譲り、ついに“現役引退を発表した”のだ。

@昨日(03/17)、東芝が白熱電球の製造を打ち切った。経済産業省のメーカーへの要請によるもの。この要請を受け、NECライティング、三菱電機OSRAMが再来年(2012)までの打ち切りを表明している。照明業界では最大手のPanasonicは12年に07年比で4割削減の計画だという。

@東芝は、日本における白熱電球の歴史において、先駆け的存在として重要な位置にある。聞けば、同社の前身である『白熱舎』(この会社とエンジニア・田中久重(からくり儀右衛門)の起こした『田中製作所』と合併して今の東芝の基礎が築かれた)の創業者・藤岡市助氏が、白熱電球の生みの親である発明王トーマス・アルバ・エジソンの下で電球の製法を学び、1890年に日本で初めて製造を開始したという。

@それからずっと、白熱電球は長く世界中の家庭や職場、学校などの各施設を、その暖かくもまばゆき光で照らしつづけてきたのだった。

@しかし、地球規模で広がる温暖化の時代が到来すると、CO2を大量にエネルギーと共に排出する白熱電球は、欧米各国やオーストラリアで段階的な製造中止に追い込まれていった。こうした世界的な流れを受け、日本でも他社に先駆け東芝で、製造中止に踏み切ったのだった。電球を先に作り始めたのも東芝なら、作るのを先にやめたのも東芝。何処か不思議なものを感じる。

@製造拠点である東芝ライテック鹿沼工場(栃木県)では、昨日製造中止の記念式典が行われ、103機種もの一般向け白熱電球の製造を担ってきたラインを停止した。今後はシャンデリアなど特殊な用途に使われる電球のみを山形県長井市の工場で製造するのだという。

@今後は同社でも、長寿命で消費電力も小さいLED(発光ダイオード)電球の販売に注力し、2015年度に売上高3500億円(今の時点では200億円程度)を目指すとか。最早環境の為に、仮令今まで愛されていたものも、消えていかなくてはならない御時世だ。

@照明界の表舞台に颯爽と立つ新しい主役・LED電球を使うのは環境を守る為、致し方なしとはいえ、主役交代と引き換えに、表舞台の主役を120年間勤め上げた後、静かに去っていく白熱電球に、何か惜別の情が沸いてこないか。

@自分の思い出としては、あの白く丸く輝く、まばゆくも暖かい、やさしいぬくもりのある光が忘れられない。ずっと昔家族で住んでいた木造アパートの、便所の入り口に灯された、丸く暖かく光る電球は、夜中に起きて、小用に立つのがトテモ怖かった幼き頃の私にとって、それは頼りがいのあるものだった。

@そんな、少なくとも自分にとっては思い出深いものが、照明史の主役を引退し、今まさに歴史のかなたへと消えようとしている。新しい時代の颯爽たる主役を受け入れる喜びと、今まで愛してきたものが去っていく寂しさとが、不思議に心中にて交じり合って、私は複雑な気持ちでいる。
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