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星人ロロン・第2部(3) [ドラマ・ミニアチュール]

@そのころ、ビルだらけで緑の全くなくなった地球の僻地・日本の首都・トキオでは――

@昆虫学者の朝永と、ピンダロス星からはるばる観光にやって来た物理学者のドド・アスベンが、元皇居近くの超高層ホテルの最上階にある全方向スカイラウンジで、ランチをほおばりながら、雑談に興じていた。ドドと朝永は、実は昔からの知り合いであり、二人とも田茂木茸雄とは共通の知人・友人でもある。

@このころ、日本の首都「東京」は、昔のように「トウキョウ」と呼ばれなくなり、「トキオ」と呼ばれるようになっていた。皇族もすでに断絶していた。


@20年前に、日本は最後の皇族が死去した時点で、立憲君主制から自由共和制の国になっていた。総理大臣制を廃止し、大統領制に移行し、国民投票で決めるようになっていたが、肝心の国民が50年前から続く急速な老齢化の所為で、ホトンド死に絶え、選挙権が永久に認められないアンドロイドが国民の大半を占めるようになったため、投票がここ20年、行われずにいた。お蔭で大統領も世代交代できず、今や90近い高齢となった。

@大統領が高齢ゆえに政務を遂行できないので、国は全くまとまらず、ネオ右翼やインチキ教団出身者が暗躍しだし、今やアナーキー状態と成り果てた。彼らに格安の賃金で雇われた、暴力アンドロイド集団が我が物顔で闊歩し、女性や子供など力の弱いものを容赦なくいじめ、殺したりしていた。ネオ右翼やインチキ教団の連中の中には、1部のセレブリティにとりついて、税金と称して彼等から多額の金を搾り取り、収入に宛てている者も多数いた。

@そんな荒れ果てた国で、一握りのセレブリティの為に建てられた超高層ホテルの最上階で、二人の科学者がだべっているわけである。
だべりの内容は、非常に他愛がないばかりか、これが科学者の発する言葉かと聞いたものが耳を疑うような、猥雑きわまりないものばかりであった。

@朝永「いや~、昨夜はまいったよ」 
ドド「どうした?」
 朝永「いやね、俺のロロン号の調子が、どうもここんところ悪くてねぇ・・・」
 ドド「どんな感じかね?」
 朝永「行為の時に、挿入すると、途端にフリーズするようになったんだ・・・」
 ドド「フリーズ? そいつぁいけない、早めに修理に出さなくては」
 朝永「修理に出さなきゃならないのはやまやまだが・・・何せ費用が円高のせいで」

@この時代、為替レートは、1ドル=10円~20円であった。まさに超円高である。100年前の2009年以来、じりじりと円は対ドル、対ユーロ、対元で値を上げ続け、情報関係、旅行関係は潤ったが、その他の産業が完全に衰えた。今や車を持っているのは、一部のセレブリティだけであった。100年前は庶民も車を持っていたが、自動車産業の事業転換に伴い、ガソリンや電気で動く廉価な車は姿を消していった。それにつれ、庶民も車に乗らなくなった。朝永も、実は完全水素駆動ハイドロエンジンをもつ、超高性能のスポーツカーを持っているのだ。ただし、この車はインド資本の会社の製品である。日本のトヨタやホンダなどは、90年前、みんなこの「タタタ」に吸収合併されたのだった。

@ロボットやアンドロイドの修理代も高くつく時代だ。金のない持ち主たちは、闇の修理屋に直してもらうのだが、朝永はそうはいかない。世の中に顔が知れている人間の自分が闇の修理屋にロロン号を持っていくのは、学者としてのプライド、というよりは、単に気が引けるだけなのだ。ため息まじりに朝永は続けた。

@朝永「闇の修理屋へ持っていこうとも、それとも、今はアンドロメダ系の惑星グロテロに住む、ロロンの生みの親のプーロン忍也(おしなり)博士あてに直接郵送しようかと悩んだのだ」
 ドド「ならば、さっさとプーロンのところへ、直接送ればいいじゃないか!」
 朝永「それが出来たら、今頃君の前でこんな話はしてないよ!」

@プーロンは朝永のもう一人の知り合いで、銀河系屈指の優秀至極なロボット工学者である。人間工学の博士号も持っている博士は、10年の歳月をかけ、生身そのものに限りなく近い超高性能アンドロイド・ロロンを開発したのであった。

@朝永「今は郵送代もあがってしまって・・・。あの大きなのをグロテロに郵送したら、いくらかかると思うんだ? 送料込みで400万グレジッドもかかってしまうんだよ!今の俺には、とてもそんな持ち合わせはない、借金漬けだし」
 ドド「何故だい?結構優雅な暮らしをしているじゃないか。大邸宅に住んで、地球の庶民には手の届かない最高級のスポーツカーを乗りまわしているそうじゃないか」
 朝永「君には優雅に見えるかもしれないが、邸宅もクルマも、あれはみんな、レンタルなのだ。俺の儲けは、全てこの国を今完全支配している、ネオ右翼やインチキ教団出身者の金貸したちに銀行引き落としで、ホトンドとられるんだよ。手許に残るのは、チョボチョボだよ」 


@朝永のようなある程度、功成り名をあげた科学界の大物でも、ここトキオでは、金貸しから多額の金を借りなければ、生きていけないのだった。朝永だけではなく、この国では、ほとんどのセレブリティが、そういう金貸したちに頼らないと、一見豪奢に見える生活も、維持できないのだった。

@因みに田茂木茸雄は、そういう金貸しからの関係をすっぱり切り捨てた為、貧しい暮らしに終始している。家財道具も研究器具も、自家用のロケットも、田茂木は実は自分の書いた本の印税をコツコツ貯めて、購入したのだ。

 ドド「そうか・・・。(ひらめく)そうだ!俺にいい考えがある、耳を貸せ」
 朝永「何だ」
 ドド(口を朝永の耳元へ近づけ)「ゴニョゴニョゴニョ・・・」
 朝永(合点した顔になり)「なるほど・・・それがあったか!」


@いったい何を相談したのか? 次回を待て!


(つづく)
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