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星人ロロン・第2部(7) [ドラマ・ミニアチュール]

☆謎の記憶喪失男のポケットから転がり出た、なぞの黒い石の玉…?田茂木とロロンには、それがいったい、何を意味するシロモノなのか、皆目、見当がつかなかった。それもそのはず、彼等はその石の由来なんてまるで知らないのだから。

☆「ここは、ろこら?おれは、られら??」虚ろな眼をして呟きつづける男を前にして、ロケットの燃料補給も忘れ、二人は呆然と宇宙ポートの一角に、立ち尽くしていた。


☆その頃、銀河系の一角では、超高速を誇る三角定規のような、最新鋭らしきスマートなデザインのロケットが、ただいま航行中であった。その中には誰と誰が乗っているか?

☆ロケットの船窓を覗いて見ると、何と、汚いもじゃもじゃ頭に宇宙服の男と、真っ赤な鬘らしきものをかぶっている男、白髪頭の男の3人が乗っていた。ドド・アスベン、朝永、それに二人の知り合いのアスピナーレという男。何れも科学者たちである。アスピナーレは、アンドロメダ系の惑星エロイカ出身の、ロボット学者である。この人物も、ロロンを開発した人物と一緒にヒューマノイドの研究・開発に携わっていた。

☆朝永は、最近頭頂部がツルツルにハゲて来たので、ハゲかくしと、若く見せるために、何故か鶏冠のように毛のピンピン立った赤い鬘をかぶっている。アスピナーレは、生まれつき白髪で、しかも、眼が薄緑色をしていて、目鼻立ちが非常に整っている人物であった。余りの美男子ぶりが祟って、かえって女が寄りつかないという。

☆彼等3人の目的は何か?それは、田茂木のところにいるロロン号を、田茂木から奪い去り、朝永の言うことだけを聴くように改造することである。要するに、朝永は、ロロンを永遠に自分のものにするために、仲間と一緒に彼女を捕まえに出かけたのである。


☆惑星ソラリスの宇宙ポートの一角では、ガルー号の燃料補給をすませた田茂木とロロンが、記憶喪失の謎の男を乗せて、一路、惑星エリーへと旅立とうとしている所であった。ふと、田茂木がロロンに言った。

 「せっかくソラリスへと来たんだから、ちょっと探検して見ないか」
 「それはおもしろそう!…でも、この人はどうするの?」ロロンは顔に憂いを浮かべ、記憶喪失男を指差して言った。男の両眼は、今だに虚空をさ迷い、焦点の定まりがなかった。

(つづく)
タグ:SF小説
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