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ライン河畔の白骨。 [ドラマ・ミニアチュール]

☆ずっと昔、独逸は南方のライン河畔で、大洪水があった。当時の荘園、城郭、臣民、すべてが呑み込まれ、ライン河の底の泥に埋もれていったという。

☆それから暫く経って、ある若者が、ライン河の支流の岸辺を通りかかった所、白いものが流れついているのに気がついた。

☆近づいてよくよく見ると、それは白骨化した人の死骸だった。若者は仰天し、近くの村に報せに行った。

☆村の者がどやどやと、現場に駆け寄ってきた。長老がやってきて、白骨を繁々と眺めた。すると!


☆白骨は手に高価な貴金属の腕輪をしていた。「きっと高貴なお方のものに違いない」 人々は、その白骨を丁重に埋葬したあと、腕輪を村の教会に寄進したそうな。


☆それから恐ろしいほどの長い年月が経ち、何時しか村は荒れ果て、教会は無くなり、人もいなくなり、腕輪も行方が判らなくなっていた。

☆腕輪のありかが、はっきりしたのは、今世紀になってからのこと、ラインの中古時代遺跡を発掘していたところ、発見された。純金の腕輪は、昔と変わらぬ輝きを放っていた。

☆一緒に出てきた白骨は、若い女のものとわかった。発見者は「この腕輪と白骨、きっとヴァルキューレのものに違いない」と言ったそうな。人々は、あのヴァルキューレの伝説に思いを馳せた・・・。

☆腕輪の裏に古代文字で刻印があった。解読すると、“ジークルーン”とあった。あぁやっぱりヴァルキューレは実在したかと、人々は不思議に納得した。
タグ:短編
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