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8月最終土曜日の雑感。本物の学問は深いねぇ! [雑文]

@昨夜、新宿で朝日カルチャーセンターで茂木健一郎博士の講座「脳と心を考える~脳と美~」を聴講した。

@茂木氏の講義の中で、ネットの進化したヴィジュアルコンテンツサイトで、(最先端の)学問の精華を伝えようとする試みが今、急速に広まっている、という話が出た。

@TEDやマイケル・サンデル氏による「正義とは」のハーヴァード大学での講義のように、絶妙なカメラワークを生かして、教授たちが情熱を持って学生たちに語りかける姿を、ウェブに載せて、それこそ光の速さで伝えていく。そういうネット上でのあり方が、世界中の学問のやり方にある種の「革命」を起こしているのだろう、と見た。

@日本の場合は、もう時代遅れのリアルプレイヤーを押して、ヴィデオを見て下さい、というような見せ方をしている大学のサイトがあった。それもいわゆる「日本最高のブランド」大学のもの、である。

@今はYouTubeとか、Ustreamとか、そういう時代の先端を走るネット上のヴィジュアル用ツールで動画を流すだろう。ウェブを使っている世界中のみんなは、各々自分で撮影し、あるいは録画し、PCで編集した動画をこれらのツール上にアップデートしているのだ。

@日本の最高の大学とあろうものが、リアルプレイヤーなんて、2世代も3世代の前の古いツールで動画をアップしてどうする。時代はもうとっくに変わった。古いツールが有効だった日々はもはや完全に歴史の彼方へ過ぎ去ったのだ。

@…それはさて置いて、サンデル教授は「正義とは何か」という例の講義で、学生たちの中から覚束無い形でたちあ
がっているだろう“理性の落ち着きのなさ”というのを彼等に教えているんだって。こういう言葉が出てくる人というのは、物事について日頃から深く考えている人なのだ、というようなことを、茂木さんは講義の中で語っていた。


 
@「『理性の落ち着きのなさ』を君たちの中に引き起こして、それが何処に向かうのかを見てみようと思う」(サンデル
氏)という言葉なんて、イマドキの日本の、各種学校の先生たちの口から出てくることはあるのかな?ごく一部を除いては、ホトンドないだろうなぁ。

@それから茂木氏は、自分も3年前に見て「これはえぇ!」と思ったBBCのコメディシリーズ「Little Britain」のヴィデオをPCで上映した。「差別・偏見」や「ハンディキャップ」をどうどうと取りあげ、結構笑い飛ばしている。

@おばさん2人が出て来て「異質な他者に偏見を持っている側」の背の高いおばさんが常に気分が悪くなり、ゲゲゲ~!と戻しちゃったりするギャグ、人のいいのっぽ男と車椅子の小男が出て来て、のっぽ男の隙を突いて小男が車椅子から立ち上がり、無茶苦茶なやりたい放題をするギャグなど、結構批評性の高いコメディが作られている。

@このコメディに出ているのっぽと小男のコンビは、実はケンブリッジ大学を出たインテリなのだ。英国で批評性に満ちたコメディアンというのは、皆大学で深い知性と教養、そして深い哲学性を涵養しているのだろう。

@英国もそうだが、他の国で「大学」と言うのは、そういう『知性と教養を深め、哲学性を磨く』ところなのだ。そういうところからでたインテリが、「差別・偏見」や「ハンディキャップ」といった、ともすれば深刻になりがちな問題を取り上げて、鋭いながら笑えるギャグにしてしまうところが、英国のコメディ界の凄いところだ。またこれを放映していたBBCも、差別やハンディキャップといった「多様性」が絡む問題に対して寛容なのも凄い。

@差別や障碍といった、「多様性の受容」という命題が含まれる問題を、「差別はいけない」「障がい者に偏見を持ってはいけない」とストレートに啓蒙するのは当然ありだが、Little Britain のようにコメディにして、「偏見を持つ、隣の国を蔑視したりする、異なる他者を排斥する、そのような愚かな人間たちに自分たちの愚かさをわかってもらうにはコメディは一つの有効な方法だ」、と茂木さんは言っていた。

@まぁ、これを日本の何処か勇気あるコメディアンがやってくれないかな、と思うけれど、ラヂオやTVといった、既成のメディアの上でこれをやったら、きっと視聴者から「放映ヤメロ!」といったきつーいクレームが沢山来てしまうかも。それでもやってくれるコメディアンが日本にいるなら、それは大変な奇跡といえよう。

@兎にも角にも、こういう世界の学問事情や他国のコメディの面白さと、その中に隠された「鋭いメッセージ」を教え、かつ「人生においてより良い生き方は何か」ということを、科学者の視点から伝えようとしている茂木さん。その懸命な姿勢の中に、熱く、前向きで、物事に対して真摯な思いを感じる。聴講者はみなそれぞれの立場でそんな茂木さんの思いを受け取りながら、講義を受けている。この人は本気で時代に相応しい人材を育てようとしている、日本ではおそらく数少ない人物の中の一人なのに相違ない。

@最初の「大学講義」の話に戻るが、これは茂木さんも話していたが、日本の大学での講義は、本題に入る前に、余計な前置きが入るのだ。他国の教授はそんなことはしないでいきなり本題に入る。

@もし、若者たちを本気で人材に育てるという情熱と気概があるのなら、本邦の大学教授はそういう講義をしてもらいたいものだ。
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