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日本の業病。 [独白]

@このエントリーはブログ「クオリア日記」(『偶有性』忌避という『風土病』)(http://bit.ly/9LmPwX
を読み、思ったままの事を書いたものである。↓


@何時、何処で、何が起こるかわからない、己のこの身さえ、この先如何なっていくのか見当つかない・・・といったこの世に普遍的にある性質は、「偶有性」(英訳語は『有事』を意味する英語contingencyである)と呼ばれている。

@ある著名な学者が毎度力説するように、それは眼に見えざる、巨大な海のようなもので、我々はその大海と何時でも向き合わざるを得ない状態に置かれている。

@今世紀へ入り、ウェブが関わるようになってから、世界の動向はまさに年々、どころか、刻々と流動化の速度を速めているように思われる。工業界では、日々刻々高速化し、限りなく進化を続けるウェブワールドに適合した新製品が続々と出ている。

@きょうの昼間のニュースで、アップル本社の新しいみっつのiPodの発表を見た。恐ろしいほど良く出来ていた。思いがけない製品を出してくるアップルの凄さには多少は感服したが、それ以上に内心驚いたのはCEOのスティーヴ・ジョブズがいまだにパワフルで元気でいる、ということだ。

@そうしたものを生み出していくアメリカ(ここではUSA=アメリカ合衆国)という世界は、まさに多くの「エリート」と呼ばれる人間が、偶有性の大海へ喜び勇んで漕ぎ出している。つまりは何時何が起こっても柔軟に対応していけるだけの精神力を発揮して生きているのだ。

@USAの人たちだけじゃない。EUも、チャイナも、アジアのほかの諸国も、多数のエリートはウェブを介してのグローバリゼーションの高速進化を歓迎してか、偶有性の大海に向かって泳ぎだしている。またビジネス面から見れば、偶有性に飛び込む事は、多くのビジネスチャンスを提供してくれる事柄ゆえに、時代の先端を行く人々が、次々と飛び込んでいく。

@ただ、ユーラシアの一番端っこの、閉鎖的な心性を引きずる人間が多く住む、この小さな島国は、そんな偶有性の大海を前にして、背を向け、自分たちだけの小さな小さな世界に寄り集まって、固まっていこうとしている。

@しかしそういう小世界ほど、大きな波に当たった砂の彫刻が、跡形もなく消えていくように、偶有性の中に大きく呑み込まれ、やがては消えていくものだ。偶有性なる「時代精神を象徴するモンスター」(『クオリア日記』より)の勢いは、そんな後ろ向き、内向きの世界など、いとも簡単に、木っ端微塵にしてしまうのだ。


@『確実性』と『安全性』を過度に希求するあまり、何時しか柔軟に偶有性に対応する知恵と能力を失いかかっている、今の日本人。このままでは我々はよりよく生きられまい。

@そんな日本人の中で、“幸せの直道”とされる“エリートコース”をわき目も振らず「まい進」して、出世街道まっしぐら、いい高校、いい大学、いい大企業といったベルトコンベア的な進路を歩んできたものほど、偶有性をドンドン「忌避」しているように思える。

@所謂“学歴信仰”を完全に信じ込み、まっしぐらにお定まりのコースを進んで、首尾よく出世しおおせた、そういう人たちほど、時代の大きな変わり目に、全く対応できてない事が多い。

@むしろ、そういうコースを歩んでいない、または何処かでそのコースから外れた人たちほど、偶有性を忌避せずに、嫌も応もなく付き合い、格闘しつつ日々を生きている。否、偶有性を忌避出来ずに、それと向き合わざるを得ない状態になっている。

@・・・家族の事、仕事のこと、その他個人個人で、いろんな思いや悩みを抱えて、必死に生きている、そのような人たちが、日本では偶有性と懸命に向き合っている、というようなことを「クオリア日記」の作者である脳科学者・茂木健一郎が某雑誌のコラムで書いていた。茂木のこの見立ては、おそらく間違っていないと思う。

@そして、その中から、何時しか偶有性を「味方につける」人間が生まれてくるやも知れぬ。否、すでにそういう庶民がいるに違いない。

@偶有性なるモンスターを味方につけるには、勇気を奮ってモンスターの懐に飛び込まねばならぬ。そうしてモンスターを味方にした者は、如何なる艱難辛苦をも、辛抱強く前向きに乗り越えていける。どんな事が起こっても柔軟に対応できる。

@そうした庶民がもっと増えれば、バブル以来国力を徐々に失い、今や自滅寸前の状態にあるこの島国に毒ガスの如く漂う「閉塞感」の「濃霧」が振り払われ、島国は大きく変わるのではないか。

@そして、偶有性を味方にした人々の中から、世界の為、日本の為に私心を捨てて、国内外の様々な課題と向き合い、奮闘する本物の『エリート』が、それこそ踊りだすように誕生するのではないだろうか。

@いまは深刻なる『偶有性忌避』という骨がらみな「日本の業病」。しかし、賢明で真摯な庶民が偶有性と格闘し、味方につけることができるようになれば、「業病」克服への道は、きっと開かれる。
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