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高嶺の花なんて [詩的散文]

☆我にとりての、高嶺の花は、最早遠い遠い次元の空へと、飛び去ってしまった。


☆後に残るは、草木の陰に隠れたる小さな無視のような我のみ。


☆呼べど叫べど、決して返らず。我はただ望みを失い、やがて、湿ったこげ茶色の土塊と同化した。


☆あれから、幾星霜の年月が流れたるや。憬れの人は、何時しか世間に祭り上げられ、神の玉座についた。


☆されど、まもなく、その神の座から引き摺り下ろされ、程なく消えた。



☆土塊となりし我、何時ぞや来たりし者なるや、わが元に来たる草木の種を暖め、発芽させ、慈しみて育む。


☆やがてそれは、一本の地面に深く強く根を張り、天に向かっては大きく枝葉を青々と広げる大樹となりぬ・・・!

☆大樹は多くの様々な人々の憩いと安らぎ、癒しと励ましの大きなよりどころとなり、呪わしき乱世悪世に心蝕まれたものたちにも、多くの恵みを齎しぬ。

☆地面と化した我が元にも、たくさんの優しき者たちがやってきて、心から本当の友達になってくれた。


☆高嶺の花なんて、枯死して、風に吹かれて、消えてしまうがよい。

☆我々を大いなる慈愛をもて力強く守る大樹の下、「人の為・世界の為・愛の為・そして平安の為」なる心を同じうする彼等こそ、今の私の、如何なる宝にも変えがたき、最高の至宝なのだ…!

☆我は大地の土塊として、彼等と共に行き、生ききり、…やがては宇宙微塵へと還らん…。


(23th september 2010)
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