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「カネのため」より「人のため」。 [雑文]

@20世紀を代表する英国出身の歴史学者、アーノルド・トインビー博士は、「ラボレムス!」(さぁ、仕事を始めよう!)と言うラテン語の言葉を己のモットーとし、生涯、孜々として、不撓不屈の人生を貫いたという。氏は80を過ぎても、朝7時には起床し、仕事を始めることを日課としていた。

@さて、現代は職業につくにも何かと難しい時代だ。欧州に端を発する経済的不安、それに関連して起こる超円高、工場の海外移転に代表される国内企業環境の空洞化、もっぱら産業界の利益にしかならない悪制度「新卒一括採用制度」の横行、それらによってかえって酷くなっていると思しい、就職超氷河期…。若者と言わず中高年と言わず、思うような仕事にもつけず、路頭に迷える人々、生活保護を受けざるを得ない人々は、時と共に増える傾向にある。

@そのような中、あの震災が起こり、青年たちの働く意義が変わったといわれている。如何いうふうに変わったか、といえば、震災前は「何のために働くの?」ときけば、「カネのため」、「(自分の)生活安定のため」と答えていたのが多かったが、震災後は「人のため」「社会貢献のため」というふうに変わったのだという(ある青年たちが東北6県の47大学の学生を対象に行った「震災意識調査」の結果による)。

@調査を監修した大学院の教授によると、若者たちは、震災を経験して、「互いに信頼し合える社会」を目指して行動しようとしている、とのこと。震災前は余り意識してこなかった「社会」や「人とのつながり」「絆」を強く意識するようになったとこの教授は論評している。

@働く上で、金を得る=収入を得ることは、毎日を生きる上で大切なことに相違ない。昨今になって崩れつつあるとはいえ、この資本社会の中では、物を食べるにも、買うにも、お金がいるのは当たり前というか、収入のあるなしはその個人の死活問題に関わってくる。大金をそれこそ滝を浴びるが如く儲けたか、そうでないかで、社会組織や人を「勝ち組」「負け組」に簡単に二分するのは、実に虚しい価値観であり、今となっては最早愚の骨頂と言うべきだろう。

@震災があったおかげ(?)で、若者たちにも、意義のある仕事をしたい、という考え方が広がりつつある。それゆえに、意義のある仕事を若者に見つけさせる機会を奪いかねぬ“現代の奴隷制度”たるべき「新卒一括採用制度」は断じて廃止しなくてはならぬ。現に皮肉なことに、この制度があっても若者の雇用環境は一向によくならないのであるから。

@人のためになる仕事、社会に貢献できる仕事、そういう意義のある仕事を若者が志向するようになった以上は、彼らの志を壊す諸制度は、改めなくてはならないと考えるものである。
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