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五月雨幻想 [詩作]

雨露で緑がしっとりと濡れ、緑の色が冴えて息づく。

空をば見れば、陰鬱な鉛銀色の雲の固まりが、その上にある澄める青空を覆い隠している。

花壇の雛罌粟は、白い露にあたったせいか、朱や橙や白のこうべをたれて泣いている。

町に吹く風は、重たい湿り気を含んで、身の回りに張り付く。

今、鉛のように重たい懊悩を抱えて、我、三次元の中空に、ただひとり立つ。

空はますます重い鉛色を増し、降る雨粒はいよいよ大きくなり行く。

心中に鉛を抱えたまま、中空に一人浮く、我が苦しみを誰が知らんや。

(08/05/10)
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