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若大将もコークを売っていた。~コカコーラ~ [企業史・広告史]

@小さい頃、当時若者のアイドルだった若大将こと加山雄三が、コカコーラ(コーク)のビンを持って、とくだね!なんて言っているCMやポスターを、何度か見かけた覚えがある。

@その時、私の脳細胞では、若大将とコークのイメージが、彼とエレキのイメージよりも、電光石火の如く素早く、強く結びついたらしい。以来、今も我が頭の片隅では、若大将といえばエレキとコカコーラ、のイメージの痕跡がしっかり残っている。

@19世紀末、USAはジョージア州アトランタで、薬剤師のペンバートン博士により、コカコーラの原液シロップが発明され、当時街じゅうにあったソーダ・ファウンテンのひとつで、従業員が水と炭酸水を間違えてコーラのシロップとブレンドしてしまい、これがかえって「スカッとさわやか!」ということで評判になり、以来、コカコーラはビンや意匠のいくつかの変遷を経て、世界中に広まってきた。

@コカコーラが初めて日本に上陸したのは大正の頃。当時は東京・京橋の明治屋で主に売られていたらしい。ちなみに明治屋は、当時は麒麟ビール、清酒月桂冠などの販売代理店であった。

@大正の頃に上陸した当時は、何ともクスリくさい、ということであまり民間にひろまらず、インテリたちだけの嗜好飲料に過ぎなかった。何故コークがクスリくさいといわれ、好かれなかったかといえば、その頃、日本ではコカコーラとよく似た香味をもつ胃腸薬が市販されていたそうな。

@二度目の上陸を果たしたのは終戦直後、進駐軍とともに果たした。当時は米軍基地内にボトリング(ボトル詰め)工場を直接拵え、PX(現・和光)を通して進駐軍向けに売られているだけだった。そう!再上陸まもない当時のコークは、GIの兄ちゃんたちやその家族の間だけで飲まれていたのだ。占領下の本邦一般庶民には決して口にすることができないアメリカ産まれの憧れアイテムのひとつだった。

@そんなコークが、ようやく庶民も手に出来るようになったのは、1957(昭和32)年。シロップ輸入の許可を得て、東京飲料(現・東京コカコーラボトリング)が発足、190mlのレギュラーサイズの製造販売が始まった。当時は小売店へ直接卸売り販売(ルートセールス)を行っていたが、1日僅か20~30ケース程度の売り上げしかなかった。

@それから少しずつではあるが浸透し始め、1962(昭和37)年には、例の「スカッとさわやかコカコーラ」のキャッチが生まれ、TVCMも製作・放映され、次第にみんなに親しまれるようになっていった。この頃、日本初のドリンク類自動販売機として、赤く塗られたコークのレギュラーサイズの自販機が登場、これは七つのアナにロックされたコークがセットされていた。

@この自販機にコインを入れて、小窓を開け、ロックの外れたボトルを取り出し、自販機の右横についていた栓抜きで王冠をポン!と抜いて、コークの爽やかさを味わうものであった。私が小学生の時分まで、この赤く塗られた自販機は、酒屋サンや御菓子屋さんあるいは駄菓子やさんの店先にドンと置かれていたのだった。

@コカコーラのCMに最初に出たのは、上に紹介した加山雄三だった。「コークと呼ぼうコカコーラ」のキャンペーン(1967)広告で、有名タレントとして一番最初にコークの広告に出た。この後、ピンキーとキラーズ、早見優、矢沢栄吉と、有名人のCM起用は今日まで続く。最近じゃ新製品・コカコーラゼロのCMに安室奈美恵が出ていたりする。

@そのほか、販促キャンペーンは盛んにやっていた。1975(昭和50)年のヨーヨーチャンピオンによるデモンストレーション・キャンペーンをしかけたのは当時のコカコーラ・ボトラーズだった。例の流れるロゴいりのマジックヨーヨーが大人気。チャンピオン達は全国各地でデモンストレーションを行い、また全国からヨーヨー好きを集めてコンテストまで行われた。「犬の散歩」とかヨーヨーの技を覚えている人も多いのでは?そういや、級友たちが駄菓子やなんかの前でヨーヨーを盛んに回していたなァ。

@このキャンペーンで、昭和8年以来廃れていた、日本でのヨーヨー人気が復活していた、と気付いたのは後のことだった。


@…斯様にして、コカコーラは日本国中津々浦々にまで親しまれる清涼飲料となった。もっとも、ココ数年はペプシに押され気味だったコークだが、最近は糖質、カロリーともにゼロの「コカコーラZERO」が発売され、撒き返しをはじめている。ロゴを見るだけでも、コカコーラは伝統と親しみやすさ、ペプシコーラは革新とクールさが前面に出ている。初めて両者を飲み比べてみた感想を思い返すと、コークよりもペプシのほうが若干甘味が強く、ややクスリくさかったりして。
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