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嗚呼、懐かしい「クラブ洗粉」。 [企業史・広告史]

@以前、都内某所の「ロフト」(LOFT)で、花の冠をつけた双子美人の商標と、アールヌーヴォーなデザインのパッケージが何ともロマンチックな『クラブ洗粉』を発見した。

@実は昔、私もこの『クラブ洗粉』を買い、毎朝起きた後、毎晩寝る前にこれで顔を洗っていた。何処となく懐かしい、しかし高貴な薫りに包まれ、幸せな気分になった。

@明治39年(1906)、中山太陽堂という大阪の化粧品会社が、最初の製品を発売した。この製品こそ、上に紹介した『クラブ洗粉』である。因みに、この中山太陽堂という会社は、現在のクラブコスメティック㈱で、今も本社が大阪にあり、『洗粉』のほかに『クラブ美身クリーム』『クラブホルモンクリーム』などを発売している。

@当時は、顔を洗うための化粧石鹸が普及し始めた時代であった。外国産石鹸が輸入され、それまで品質の悪いといわれていた国内産の石鹸も質のいいものが出回り始めた頃だった。こうした石鹸の普及に伴い、洗粉系の粉末洗顔料は、次第にその存在感を薄くしていった。

@しかし、『クラブ洗粉』は石鹸に劣らぬ優れた洗浄力と芳香で、洗粉系洗顔料の地位を死守した。クラブのお蔭で、洗粉の命脈は保たれたのだった。

@…それにしても1世紀ものなが~い間、人々に愛され続けているなんて、流行り廃りで消えていく商品やタレントが数多あるなかで、100年も消えずに命脈を保っている製品と言うのはそんなに多くはない、と思う。『仁丹』然り、『正露丸』然り、『オイデルミン』然りである。

@10年近く前、都内某所のアンティークショップで、その『クラブ洗粉』の戦前版パッケージを発見し、即座に購入した。現行品とホトンド変わらないデザインは、当時の女性たちの心を動かし、惹き付けるのに十分な訴求力を持っていたにちがいない。

@昔の広告や商品パッケージは、とても手作り感が溢れていて、人間の手の“匂い”がする。今のCMや雑誌のPRを見ていると、如何もCGやらDTPやらを多用しすぎている感が強い。一体何時からそうなってしまったのか、私の考えでは、多分1990年代あたりから、その傾向は強まってきたような気がする(というのは、私はその当時、大手印刷会社に勤めていたことがあったからだ。その当時から、印刷方法のデジタル化が始まり、うちの会社でもDTPの導入が始まったのだった)。

@その時から、広告やパッケージから段々「味」がなくなってきたようだ。人間的な何か、温もりのような味わいが。かわりに流行りだしたのは、CGをのべつ矢鱈に押し出した広告やCM,パッケージデザインだ。カッコ良くなったのはいいけれど、味わいやら温もりがイマイチ、感じられない…。

@100年も続く製品の中には、『仁丹』や『クラブ洗粉』のように、当時のデザインのまま、時代に合わせて勿論、微妙な変化はあるけれど、基本的なデザインを変えずに売られ続けている製品がある。こういう製品こそ、願わくば、何時何時までも、消える事無く、また変わる事無く、残っていって欲しいものだ。
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