銀河系・明日の神話/『星人ロロン』改め(1) [ドラマ・ミニアチュール]
☆今回からは、『星人ロロン』改め『銀河系・明日の神話』というタイトルで、話を書くことにする。デジタル流行りで電子書籍の時代が来始めているという今、必要なのは『物語の復興』なのだ。☆
●第1章第1話・ガルー出発●
☆地球出身の昆虫学者・田茂木茸雄、生身の人間に究極まで近づけて作られた女性型アンドロイドのロロンは、惑星ソラリスに着いた時、ソラリスの大海に浮かんでいた男性型アンドロイド、ジークフリートを救い出した。そこで不思議な玉石の情報を聞いたロロンと田茂木は、それを取り返すべくソラリスを旅立つことにした。
☆しかし、ロロンを初めて自分で「恋人」と意識したジークフリートは、予め「恋人」としてプログラミングされた田茂木の古い知り合い、最上百合子のことを忘れ、ロロンのことばかりを想うようになった。
☆いよいよガルー号が、惑星ギラを出発するとき、ジークフリートは彼女を想うあまり、毛布に包まって自慰行為をした。手でしごいて大きくなった自らの逸物は、硬く大きくなったついでに、白い液体を噴き出し、みるみるしぼんでいった。あっという間に毛布はその白液でべっとりと汚れた。我に帰ったジークフリートは、
「しまった!やっちまった!」
☆慌てて毛布についたその白液を、そこらにあった雑巾で拭いた。しかし、今度は雑巾が白く汚れた。「ああ、見つかったら怒られてしまう・・・」そこで今度はロケットから出て、何処か水のあるところを探した。・・・ほどなく、ジークフリートの敏い耳がせせらぎの音を捉えた。彼はその音が聞こえるありかに向かい、さらさらと流れる湧き水を見つけ、そこに毛布を浸して、ゴシゴシ洗った。ほどなくして白液は綺麗に流れ落ちた。
「ああ、よかった・・・」
☆ジークフリートがほっと安堵の顔になったそのときだった。彼の後ろで誰かが立っていた。その誰かは、彼に声をかけた。
「そこで何をしてるんだ?」ジークフリートはぎょっとした。振り向くと、そこには田茂木その人が立っていた。
☆ジークフリート「よ、汚れたから、洗っているんだ・・・おねしょで・・・」
田茂木「嘘つけ。おまえみたいな大の男がおねしょなんかするかね?」
☆ジークフリートくらいの生身の男性の年恰好では、確かにもう、おねしょする時期ではない。
☆田茂木「教えてくれ、正直に・・・怒ったりはしない。何をしたんだ?」
ジークフリート(口篭もりつつ)「じ、実は・・・」
田茂木「実は・・・何?」
ジークフリート(耳たぶの端っこまで顔面が真っ赤になりつつ)「俺、ロロンを思うようになったんだ、それで、たまらなくなって・・・」
田茂木「ひょっとして、☆★☆か・・・?」
ジークフリート(酷い赤面状態)「そうなの・・・その☆★☆なの・・・」
☆それを聞いた田茂木は、ハハハハハ・・・と大笑した。「なんだ、そんなことか・・・、でもロロンはおまえには渡さない。俺の命よりも大切な女だからな」
ジークフリート「命よりも、大切な女・・・」
☆それから、男同士の秘めた会話が展開されたが、ウェブ容量の関係もあり、ここでは割愛。語り合いが終わる頃には、ソラリスの夜は白々と明け初めていた。
☆はるか東の水平線に、青白く光る太陽が昇り始めた。ここに住む生き物たちの鳴き声が聞こえ始める。
ギャ、ギャ、ヒヒヒヒヒヒ・・・。キョキョキョキョ・・・。
☆鳴き声と共に、バサ、バサッと音がしたかと思うと、毛に覆われた翼を持つ鳥のような生き物が飛び立ちだした。よく見ると、これは地球では既に絶滅した翼竜のようである。
☆この惑星ギラを照らす太陽は、我等の太陽系の太陽よりも、数億年若い恒星である。だから、朝焼け、夕焼けという現象は、ココ、森の惑星ギラでは起こらない。
☆それから数時間後、ガルーがギラを出発するときが来た。田茂木茸雄がコックピットで操縦桿を握り、ロロンとジークフリートは隣り合わせに座り、座席のシートベルトをしっかりと締めた。そのとき、ロロンはジークフリートに言った。
ロロン「私の愛する人は、田茂木茸雄さんなの・・・私はこの肉体が骨から金属疲労を起こし、完全に動かなくなるまで、あの人を愛するわ。ジークフリート、あなたがあたしを愛してくれてるってことを、茸雄さんから聞かされたけれど、愛してくれるのはトテモありがたいわ。あなたを嫌っているわけでもないわ。デモあたしは、生涯あの人を愛すると決めたの・・・だから許してね」
☆目を伏せがちにロロンがそう言うのを、ジークフリートは胸を高鳴らせつつ聞いていた。それでもいい、と彼は思った。仮令片思いでもいい、ロロンが自分のそばに居るだけで、自分は十分幸せを感じるのだから。
☆やがて、ガルー号のジャイロコンパスに埋め込まれた、精巧な脳型コンピュータが出発のカウントダウンをはじめた。「3、2、1、0、ゴー!」
☆ドドドドド・・・!と凄まじい轟音を上げて、ロケット・ガルー号は、翼竜たちがギャアギャア鳴きながら飛び立ち始めた、ギラのいまだ紫色をした大空の頂点を目指し、まっすぐに飛び立っていった。この3人にいったいこれから、如何なる運命がまちうけているのやら、それはおいおい、語ることにする。
【(2)に続く】(2010/05/09)
●第1章第1話・ガルー出発●
☆地球出身の昆虫学者・田茂木茸雄、生身の人間に究極まで近づけて作られた女性型アンドロイドのロロンは、惑星ソラリスに着いた時、ソラリスの大海に浮かんでいた男性型アンドロイド、ジークフリートを救い出した。そこで不思議な玉石の情報を聞いたロロンと田茂木は、それを取り返すべくソラリスを旅立つことにした。
☆しかし、ロロンを初めて自分で「恋人」と意識したジークフリートは、予め「恋人」としてプログラミングされた田茂木の古い知り合い、最上百合子のことを忘れ、ロロンのことばかりを想うようになった。
☆いよいよガルー号が、惑星ギラを出発するとき、ジークフリートは彼女を想うあまり、毛布に包まって自慰行為をした。手でしごいて大きくなった自らの逸物は、硬く大きくなったついでに、白い液体を噴き出し、みるみるしぼんでいった。あっという間に毛布はその白液でべっとりと汚れた。我に帰ったジークフリートは、
「しまった!やっちまった!」
☆慌てて毛布についたその白液を、そこらにあった雑巾で拭いた。しかし、今度は雑巾が白く汚れた。「ああ、見つかったら怒られてしまう・・・」そこで今度はロケットから出て、何処か水のあるところを探した。・・・ほどなく、ジークフリートの敏い耳がせせらぎの音を捉えた。彼はその音が聞こえるありかに向かい、さらさらと流れる湧き水を見つけ、そこに毛布を浸して、ゴシゴシ洗った。ほどなくして白液は綺麗に流れ落ちた。
「ああ、よかった・・・」
☆ジークフリートがほっと安堵の顔になったそのときだった。彼の後ろで誰かが立っていた。その誰かは、彼に声をかけた。
「そこで何をしてるんだ?」ジークフリートはぎょっとした。振り向くと、そこには田茂木その人が立っていた。
☆ジークフリート「よ、汚れたから、洗っているんだ・・・おねしょで・・・」
田茂木「嘘つけ。おまえみたいな大の男がおねしょなんかするかね?」
☆ジークフリートくらいの生身の男性の年恰好では、確かにもう、おねしょする時期ではない。
☆田茂木「教えてくれ、正直に・・・怒ったりはしない。何をしたんだ?」
ジークフリート(口篭もりつつ)「じ、実は・・・」
田茂木「実は・・・何?」
ジークフリート(耳たぶの端っこまで顔面が真っ赤になりつつ)「俺、ロロンを思うようになったんだ、それで、たまらなくなって・・・」
田茂木「ひょっとして、☆★☆か・・・?」
ジークフリート(酷い赤面状態)「そうなの・・・その☆★☆なの・・・」
☆それを聞いた田茂木は、ハハハハハ・・・と大笑した。「なんだ、そんなことか・・・、でもロロンはおまえには渡さない。俺の命よりも大切な女だからな」
ジークフリート「命よりも、大切な女・・・」
☆それから、男同士の秘めた会話が展開されたが、ウェブ容量の関係もあり、ここでは割愛。語り合いが終わる頃には、ソラリスの夜は白々と明け初めていた。
☆はるか東の水平線に、青白く光る太陽が昇り始めた。ここに住む生き物たちの鳴き声が聞こえ始める。
ギャ、ギャ、ヒヒヒヒヒヒ・・・。キョキョキョキョ・・・。
☆鳴き声と共に、バサ、バサッと音がしたかと思うと、毛に覆われた翼を持つ鳥のような生き物が飛び立ちだした。よく見ると、これは地球では既に絶滅した翼竜のようである。
☆この惑星ギラを照らす太陽は、我等の太陽系の太陽よりも、数億年若い恒星である。だから、朝焼け、夕焼けという現象は、ココ、森の惑星ギラでは起こらない。
☆それから数時間後、ガルーがギラを出発するときが来た。田茂木茸雄がコックピットで操縦桿を握り、ロロンとジークフリートは隣り合わせに座り、座席のシートベルトをしっかりと締めた。そのとき、ロロンはジークフリートに言った。
ロロン「私の愛する人は、田茂木茸雄さんなの・・・私はこの肉体が骨から金属疲労を起こし、完全に動かなくなるまで、あの人を愛するわ。ジークフリート、あなたがあたしを愛してくれてるってことを、茸雄さんから聞かされたけれど、愛してくれるのはトテモありがたいわ。あなたを嫌っているわけでもないわ。デモあたしは、生涯あの人を愛すると決めたの・・・だから許してね」
☆目を伏せがちにロロンがそう言うのを、ジークフリートは胸を高鳴らせつつ聞いていた。それでもいい、と彼は思った。仮令片思いでもいい、ロロンが自分のそばに居るだけで、自分は十分幸せを感じるのだから。
☆やがて、ガルー号のジャイロコンパスに埋め込まれた、精巧な脳型コンピュータが出発のカウントダウンをはじめた。「3、2、1、0、ゴー!」
☆ドドドドド・・・!と凄まじい轟音を上げて、ロケット・ガルー号は、翼竜たちがギャアギャア鳴きながら飛び立ち始めた、ギラのいまだ紫色をした大空の頂点を目指し、まっすぐに飛び立っていった。この3人にいったいこれから、如何なる運命がまちうけているのやら、それはおいおい、語ることにする。
【(2)に続く】(2010/05/09)
タグ:SF小説
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