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「核の悲劇」伝える“負の世界遺産”が又一つ。~ビキニ環礁、世界遺産に~ [雑文]

@かつての冷戦時代、アメリカが核実験を繰り返していたマーシャルアイランド・ビキニ環礁がこのたび、世界遺産登録されることが決まった。ブラジリアで行なわれているユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会が先月31日にこの環礁を世界文化遺産に登録した。

@この環礁を世界文化遺産に決めた理由について、ユネスコ側は、ビキニ環礁一帯では(広島・長崎への原爆投下の翌年の)1946年から1958年までの8年間、67回もの核実験が行なわれ「核実験の威力を伝える上で非常に意義深い証拠」が保存されていることなどを挙げていた。

@委員会議長を務めるブラジルのフェレイラ文化相は「環礁の経験を繰り返すことは出来ない。将来の世代の記憶に
とどめなければならない」と述べたとや。


@…ここで私たち、アジアの東の端っこに住むものにとって忘れてはならない事件を思い返してほしい。それは「マグロ」と深い関係のある事件だ。

@当時、ビキニ環礁の近海で、マグロを獲るべく操業していた「第5福竜丸」が被曝した事件だ。


@そのとき行なわれた水爆の実験によって発生した、いわゆる『死の灰』を浴び、乗組員の頑健な肉体は強い放射能に汚染されてしまった。またこの被曝で「第5福竜丸」乗組員の一人で、無線長だった久保山愛吉さんが亡くなられた。幸いにして命を永らえた残りの人々も、放射能障害にいまだに苦しめられていると聞く。

@また事件が起こった当時、人々が「マグロは放射能を浴びてるかもしれないから食べられない」、といってマグロが『死のマグロ』として敬遠されたとも聞いている(記憶違いだったらお許しを)。


@67回もの核実験が行なわれた所為で、環礁の姿も変わり、実験の痕跡がまだ残っている場所もある。近海の幾つかの島に住む住民たちも、繰り返される核実験で多量の放射能を浴びつづけた為に、今も「第5福竜丸」被曝事件の生存者のように、放射能障害に苦しむ人が多いと聞いている。

@この被害は、放射能を直接浴びた世代だけに勿論のこと、とどまりはしない。子々孫々に亙って、放射能被害が受け継がれていく。核実験の被曝被害の恐ろしさはまさにここにあるのだ。

@…このように核の悲劇を、広島・長崎と同じくらい、或いはそれ以上に味わったであろうビキニ環礁。核兵器とその爆発実験が齎す、呪わしい全ての出来事を、断じて後世に繰り返さない為に、ユネスコはあの原爆ドームと並んで、この地をいわゆる“負の世界遺産”への登録を決めたのだ。

@バラック・オバマが「核なき世界の実現」を自らの演説で述べたことをきっかけに、世界中にて核廃絶の潮流が起こり始めている。この流れはインターネットを介した現代文明の激変の潮流と同じく、止まらないことだろう。
否、この潮流を止めてはいけない。時代の必然としなくてはならないのだ。

@もうすでに8月。先の大戦にて失われた、夥しいほどの犠牲者への鎮魂と、何が何でも核(とクラスター爆弾)のない、本当に平和な世界の構築に、皆がそれぞれの立場で、取り組もうと深く誓いを立てる、そんな月なのだ。

@つい先日には(米・露などが批准も署名もしないまま、という問題点を残したものの)、日本などが署名・批准したクラスター爆弾製造および使用禁止条約も発効した。

@何せ先の大戦に日本に投下された焼夷弾は、初期のクラスター爆弾だったというし、それ以後も冷戦時代、ベトナム戦争ではアメリカによって枯葉剤と並んで、高い能力のクラスター爆弾が投下された。既報のようにあちこちにこれはばら撒かれ、爆発しないで不発弾として地中に残り、人々が知らずに触って爆発し死傷する事態が、今も世界の津々浦々で後を絶たない。

@今回の条約発効は、そのような事態をなんとしても止め、テロリストの手に渡さないようにする為にも極めて重要だ。核兵器の恐怖と悲劇を伝える、2つの世界遺産と共に、この条約もまた、核なき世界の真の平和の実現の為にも、大きな意義をもつ。

@しかし…その実現の道のりは、周知のように天文学的に遠い。世界の幾つかの国々ではいまだに紛争が絶えないし、おまけに、真の平和が実現をしないうちに、何処かの愚か者が核兵器かクラスター爆弾を、自らの欲望を満たす為にか、勝手に使った結果、人類が地球もろとも死滅しないとは、誰も保証できない。

@やはり平和の実現の為には、この地上の人々から「戦争したい」という気持ちをなくしていくしかないのである。
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