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TVのこれから~ハードは進んだがコンテンツはどうよ?(前編) [雑学小論文]

 いつも見ているTV。毎日欠かさず見ているTV。仕事を終えて家に帰ると、何よりまず真っ先にすることは、TVのスイッチをONにすることだ。 このブログを読まれている方々も、その他大勢の方々も、大抵はそうではございませんか。

  ★①日本のTV史に光を放つ「エンタの殿堂」★

 そのTV。20世紀初頭の発明以来、ずっとブラウン管主流の時代が続いてきたが、近年は液晶やプラズマなどの薄型TVディスプレイが主流になった。その薄型ディスプレイが先日、売り上げで初めてブラウン管を逆転した。いまや家庭のTVは完全に薄型へと移行しつつある。その薄型TVも、ごくごく最近になって、液晶やプラズマのほかにも、有機ELや、ブラウン管並の高精細な画像を生み出す「SED」などといった新手のディスプレイ用デヴァイスが登場し、また同じ液晶でも、これまでの液晶の画質を上回るといわれる第7世代(SONY,Samsung)、第8世代(SHARP)のパネルも開発され、すでにTVディスプレイ用デヴァイスとして商品化され、出荷されているものもあるというわけで、まさにこれらは“雨後の筍”の如き多種多様な規格の乱立ぶりを呈しているといえよう。

  また日本では、これまで輝度、画質ともに難ありとして普及しなかったリアプロジェクションTVも輝度、画質ともに格段にアップし、サイズも60インチ前後程度のものが現れ、日本的な室内環境でみ十二分に鑑賞に堪える製品が各メーカーから順次発売され、爆発的普及の時を今か今かと舞っている状況である。

 このようなTV界における、ハードウェア面での日進月歩の進化と多数の規格乱立ブリには驚くと同時に、目を見張るばかりだが、ことソフトウェア――コンテンツの進化の問題となると話は別だ。

 ハッキリ言って、TVのスイッチを入れた後、どのチャンネル番号のボタンを押しても、

 「これは!」

 という、画期的で素晴らしいコンテンツには、なかなかお目にかかれない。みんな似たり寄ったりの内容、コンセプトの番組だらけだ。こんなことでコンテンツの未来は如何なるのかしらん?ハードウェアはおそろしい勢いで進化を遂げつつあるというのに…。

 かつて、夕方6時半~夜の9時の「ゴールデンタイム」といわれた時間帯では、一世を風靡した伝説のヴァラエティ番組「シャボン玉ホリディ」(日テレ系:放送期間1961年~’72年、毎週日曜6時半放映)が放映されていた。

 この「シャボン玉ホリディ」は今から思えばまさしくそれこそ後世の語り草になるほどの、日本のTVヴァラエティ史に輝く「エンタの殿堂」だった。

 「シャボン玉~」は、演出は日テレだが、構成・制作はすべて渡辺プロダクション(通称・ナベプロ=当時、この芸能プロダクションはショービズの世界で、まさに日の出の勢いを誇っていたのであった)による「ユニット番組」と呼ばれる、当時非常に斬新な構成で作られた番組であった。この番組のタイトルの“シャボン玉”は’72年の番組終了まで一貫してスポンサーを務めた牛乳石鹸共進社㈱の主力製品である石鹸の泡=シャボン玉に因むもの。

 メインナビゲーター(司会者)にナベプロが生んだ大人気アイドルとギャグメーカー、ザ・ピーナッツ&ハナ肇とクレージーキャッツを起用し、歌あり、ギャグあり、コントありとそれこそかの「エド・サリヴァンショー」もまっつあお(?!)の、何でもありの楽しいパフォーマンスを当時麹町(東京都千代田区二番町)にあった日テレの本社スタジオから、ブラウン管を通してお茶の間に届けた。そして、大物歌手から若者に大人気のアイドル達まで、数多の有名な大型アーティストを毎週出演させてお茶の間を沸かせた。

 エンディングでピーナッツがしっとりと歌う、かのナット・キング・コールのあまりにも有名なヒットナンバー「スターダスト」も話題となった。

 また番組内でクレージーキャッツの主要メンバーにして、ヴォーカル&ギター担当の植木 等(御存知でしたか?クレージーキャッツは初めからお笑いグループだと思っている方々が今や大部分だと思われますが、実は、彼等のそもそもの出自は「コミックバンド」だったのです!!因みにドリフタ―ズも初めからお笑いグループだと思っている方も多いでしょう。実は彼等の出自もバンドだったのです)が、彼自身偶然の産物と述懐する、かの伝説的なギャグもこの「シャボン玉」の放映中に生まれた。植木が自分の出番を間違えた時に思わず発した下のようなフレーズが皆の笑いを呼び、それがそのままギャグになったのだそうだ。↓

 「おっと!…お呼びでない?…お呼びでない!…お呼びでない、ね!いやぁ~ぐわっはっはっはっはっは! (と高笑い)、…こりゃまた失礼いたしましたっっ!!」(ここで一同大ズッコケ!全員大爆笑!)

 上の「お呼びでない」以来、植木は「シャボン玉」の中で次々と傑作ギャグフレーズを連発した。「こりゃあ~ショックだった!」、「ハイ、それまでよ!」、…そのホトンドが日本のギャグ史に残る傑 作フレーズとなった。同じく主要メンバーでトロンボーン担当の谷 啓も、

 「ガチョーン!!」、「ハラホロヒレハレ~」

 …など、日本ギャグ史にこれまた燦然と輝く名(迷?)フレーズをやはり「シャボン玉」の中で連発しまくって、お茶の間を笑いの渦に巻きこんだ。

 そして『スーダラ節』、『ハイそれまでよ』といったクレージーによる数々のオリジナルコミックソング・ナンバー(作詞は青島幸男、作曲は萩原哲晶による作品が多い)が番組内で初披露され、映画(『ニッポン無責任時代』など)映画にもなってしまうほど、巷で大ヒットし、いまも歌い継がれるコミックソングの傑作となって後世の人々に記憶されるようになったのである。

 ★②TV黎明期~成熟期の傑作たち★

 TVの黎明期から成熟期にかけての時代、こうしたプロダクション側の徹底的な肝いりで、内容も綿密に作り込んだ、緻密でしかも視聴者側からみて、期待を裏切らない、本当に観ていて面白いヴァラエティが人気を呼んでいた。

 ①で紹介した「シャボン玉ホリディ」以外にも、各局でお茶の間エンタテインメントの傑作が次々と作られては放映されていった。これらの傑作のタイトルを、いまこの場で私の記憶している限り記してみたいと思う(なお、各番組が放映された年代についてはスペースの都合もあり、割愛させていただくので、御了承を願いたく存じます)。

 「ザ・ヒットパレード」(CX(フジTV)系)、「てなもんや三度笠」(藤田まこと&白木みのる主演、オープニングで藤田が叫ぶ「当たり前田のクラッカー!」は当時大人気のフレーズだった。ABC=朝日放送系、本放送当時はTBS系列で東京でも放映)「巨泉・前武ゲバゲバ90分!!」(日テレ系、オープニングで出演者がプラカードを持って登場するシーンと、ハナ肇扮するヒッピー風キャラクターが「アッと驚くタメゴロー!!」と叫ぶアホなワンシーンが笑えたものだ)「裏番組をぶっとばせ!!」(日テレ系、「野球拳」で有名。コント55号の司会で大人気)、「金曜10時!! うわさのチャンネル」(日テレ系、和田アキ子の「ゴッドねえちゃん」のコーナーは面白過ぎた!小学校のPTAでも「8時だョ!全員集合」とならんで問題になっていた)「ぴったしカンカン」(TBS系、後年の「ぴったんこカンカン」の元ネタ番組。あの久米 宏が司会をつとめていたことでも有名)、「アップダウンクイズ」(MBS=毎日放送系、初期はNET(現ARB=テレビ朝日)系、後期はTBS系で全国ネット放映。ロート製薬㈱提供のクイズ番組。回答者がゴンドラに乗ってクイズに答える形式。問題正解数が多ければ多いほどゴンドラが上がって、最高点をとった正解者はハワイ旅行に行けた)、「がっちり買いまショー」(江崎グリコ㈱提供のお買い物番組、MBS系。夢路いとし・喜味こいしの兄弟漫才コンビによる司会。彼等が連呼する「おりこうにグリコ!がっちり買いまショー!」が印象深い)、その他「今夜は最高!」(日テレ系、タモリと豪華ゲストの「からみ」が面白かった!)、「花王名人劇場」(CX/KTV系)、「パンチDEデート」(同)、「タモリ倶楽部」(ARB系、今尚放映されているゆるゆる系深夜枠長寿番組)などなど各ジャンルに亘るエンタ番組の名作&傑作の数々…。

 そして、日本のエンタ史を語る上で忘れてはならない二大カリスマ番組、それが「8時だョ!全員集合」(TBS系)と「オレたちひょうきん族」(CX系)である。

 前者はドリフターズをメインに、公会堂などで毎週生放送で公開収録されていた。毎週毎週我々当時の少年少女のへそに茶をわかせてくれた、オープニングのドタバタ大掛かりな大爆笑コント、“少年少女合唱団”のコーナー(ここから生まれた大ヒットソングが志村けんによる「東村山町内音頭」である)そしてドリフのメンバーがひたすらバカバカしい珍ギャグを展開していたショートコント集。

 その他、加藤 茶による「ちょっとだけよ」、加藤&志村の「ヒゲダンス」など、この番組からうまれたヒットは数知れない。そして、いまやその「全員集合」の名(迷?)場面集がDVDとして発売され、大ヒットしているのである!

 後者はビートたけし、明石家さんま、片岡鶴太郎、山田邦子など、いまのエンタ界の大物を全国区にし、世に知られるきっかけをつくった、当時フジTVディレクターだった横沢彪らによる演出のドタバタエンタ番組。1981年ころ、ちょうど「全員集合」の裏にこの「ひょうきん族」が放映されていた為に、互いに面白さと視聴率を争う事態となったことはいまや伝説の域に。この「ひょうきん族」から生まれたキャラクター「タケちゃんマン」や「ブラックデビル」も人気を呼んだ。

 以上に紹介した番組のうち、長続きしたものでも1985~1995年ぐらいまでの間に、そのホトンドが放映を終了してしまった。今に至るまで依然として続いているものは、「タモリ倶楽部」をはじめ、上では紹介できなかったが「新婚さんいらっしゃい!」(ABC/ARB系)、「クイズ・アタック25」(同)、「森田一義ショー・笑っていいとも!」(CX系)など、いくらもない。(後編に続く)


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