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ソクラテスのいう「無知の知」をいまこそ知れ。 [詩的散文]

△西欧の人間哲学の父・ソクラテスは、デルフォイの神殿に刻まれていた碑文「汝自身を知れ」から「無知の知」を見出し、「智者」と言われていた当時の雄弁家(知識人)たちに果敢に問答で挑んで、彼らが実はそれほど物を知らないのに、知ったかぶりをしているという「真実」を見出していった。むかしのギリシャの都市国家・アテーナイで。


△自分はまだまだ万物の全てを知ったわけではない、ということを知り、自覚することこそが、「無知の知」なのだ。ソクラテスはそれを言いたかった。衆愚化しゆくアテーナイの人々に向かって。

△しかし、詭弁家たちにデマをばら撒かれ、イメージをゆがめられ、その頃の陪審員裁判で「国家の認める神を否定し、青年を惑わす者」の罪名を着せられた挙句、死刑判決を受け、1ヶ月後、「逃亡という卑劣を犯すよりは法に従ったほうがよい」といい、従容として毒をあおって、自ら死の床についた。

△嘆いた弟子の中からプラトンが立ち上がり「ソクラテスの弁明」や「クリトン」「国家」などの著作を残し、師ソクラテスの思想を宣揚した。プラトンはまた、アテーナイの郊外に私塾(学校)を開き「アカデメイア」と名付け、授業料を取らず、アリストテレスをはじめ、多くの門弟を育てた。

△翻って今は如何か?ソクラテスのいう「無知の知」について、ちゃんと考えている人は、果たしてどれだけいるのだろうか。思うに、幾らもいないような気がする。

△人間性とかについてホトンド確かなことは何も知らないのに、また、この世には自分のまだまだ知らないことがいっぱいあるのに、何故か全部知っているかのような顔をして、のべつやたらに、『我賢し』とふんぞり返る連中が、大きな顔をして、世間を闊歩しているのが実情だろう。

△ソクラテスや、「一番愚かな者は、自分は一番頭がよいと思いこんでいる者だ」と言ったといわれる釈尊が、この体たらくを見たら、如何思うであろうか。

△現代人よ、今こそ「無知の知」を知れ。自分は万物についてまだまだ何にも知らないことが多いのだ、ということを自覚せよ…!私も自覚している!
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黄昏の後で。 [詩的散文]

○遠いとほい昔、「神々」という高い人格者が統べる国があった。やがて、彼等は欲望を剥き出しにして権力争いに躍起になり、国は荒廃した。こうした「神々」のエラーによって、挙句には放火され、その国は炎に包まれて滅びていった。

○彼等の企みによって世界の希望を託され、やがて一切の矛盾を彼らによって背負わされて死んでいった英雄が居た。

○双子のきょうだい同士の近親相姦によって生まれてしまった哀れなその男は、結局は悪と奸智に長けた者たちによって陥れられ、最後にはあっけなく殺された。愛する人との美しい思い出に浸りながら。

○奸智に長けた者たちによってダマされ、生命を失った男の妻は、男の愚鈍なる故の純粋さをたたえ、「神々」を糾弾し、亡骸に火を放ち、炎と共に焼かれる英雄のもとに赴き、燃え盛る紅蓮の炎の中で既に炭化したお互いの肉体を離れ、2人の魂魄は、ようやく融合した。

○最早ここまでくれば、如何なる悪徳も2人を裂くことはあるまい。


○2人は融合した途端、高温の中で一気に純粋なる生命に昇華した。


○かくて『神々の国』は灰となり、世界の運命は人間達に託された。一方、2人の魂は光よりも速い速度であっという間に天空を突き破り、宇宙の果て目指して、高く高く上っていった。

○やがて、この生命エネルギーは、限り無く広い広い宇宙の中に輝く、数多の恒星の一つとなった。


○斯かる旧世界の滅亡によって、これまで「神々」に虐げられ続けた弱者たちは、本来の力を取り戻し、新しい世界を作り上げる原動力となっていく。


○さて…『神々』の作った古い国が灰になり、まっさらに新しくなった世界には、愛を捨て、愛を呪い通した男の怨念が残り、やがて、権力欲の魔性となって、地上の有力者達を酔わせていった。

○『神々の国』の消滅の後に築かれる『新しい世界」の人間たちには、これと闘い続け、平和な世界に保つ事が、一つの大きな使命となった。

○その使命を果たすためにか、英知≒叡智を持った新しく、賢い英雄達が、人間たちの間から生まれることになるのである。

(2009/07/16)
(2009/07/20改訂)

熱帯世界が我を呼ぶ。 [詩的散文]

@熱帯の世界が舞台の、小説やら紀行文などを読んでいると、私もあの深緑の暗黒世界に行ってみたくなる…!


@漆黒を為す深い深い緑、極彩色の宝石のような花々と鳥たち、キラキラ輝きながら舞い躍る蝶や蛾、不思議な形をした虫たち、大きな眼と長い尻尾をもった原始的なサル…。吸いこまれそうな巨大なラフレシア…。

@熱帯の世界が醸す、そんなものたちが沢山いそうな世界に、行ってみたい。

@貧しき故か、実際に行くことは出来ねども、夢の中でなら、行けるかもしれない・・・。


@おゝ、熱帯世界が我を呼ぶ!

@虹色をまとったようなあの色とりどりな鳥たち、奇妙な姿の虫たち、信じられないくらい巨大なマイマイ、そしてとどまる事無く凄まじい行進をし続ける、かの有名な軍隊蟻(マラブンタ)!

@おゝ、熱帯世界が、我を呼ぶ!


@なんとしても行ってみたい、というどうしようもない衝動と焦燥が、胸の奥から沸き上がってくる!


@行けるものなら行ってみたい、仮令、夢の中ででも、構いはしない。


@おゝ、熱帯世界が我を呼ぶ!…熱帯世界が、我を、呼ぶ!

(2009/06/08)

蟻と薔薇。 [詩的散文]

@青く、瑞々しくも固い、鋭いトゲの生えた薔薇の茎。その天辺には、あでやかに爛漫と咲く花が、太陽に向かって微笑む。

@その茎をよくよく見ると、緑色をしたゴマによく似た姿のアリマキ。無数に群がる、緑色の動く粒々。アリマキは薔薇の水分と養分を吸って、お腹の中で蜜に変える。

@その蜜は、アリマキのお尻からまるい透明な玉として出る。それを目当てに、黒い一団がやってくる。アリンコたちだ。

@アリンコはアリマキの出す蜜玉が大好き。それをもらって、美味しそうに飲んでいる。アリマキは相変わらず薔薇の水分を吸っている。沢山のアリマキのお尻から、透明な甘い玉が幾つも出る。それを飲む蟻、蟻、蟻の群れ。

@やがて、薔薇の茎の表面には、アリマキに水分と養分を吸われたあとが無数に残り、花はしなびて、色が悪くなっていった。

@アリマキと蟻とに全てを吸い取られ、しなび、枯れていく薔薇…。そこへ、一匹の黒地に赤い紋のついた、丸く小さなテントウムシが来た。

@テントウムシはアリマキを見るや、いきなり噛みついて、ガツガツ食べ始めた。旺盛なる食欲のテントウムシ。次々にアリマキたちに襲いかかり、食い殺していく。

@アリマキは、テントウムシに食われ続け、薔薇の茎の上から、次第に消えていった。薔薇は枯れていく我が命を拾い、やがて元気を取り戻した。

@のどけき春の日、穏やかな光に照らされて、薔薇は再び、あでやかな花を咲かすのだった。


@言葉を持たぬものたち同士の、生存を賭けた、弱肉強食の闘争。薔薇の花咲く庭とても、眼を見開けば、実にすさまじき戦場がひろがっているものだ。
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新・命とクオリア①-未来は、現在と同じにゃならない。 [詩的散文]

@明日はきょうと同じ筈がない。 同じようなトーンの日々のように思えるが、細かい所では、違っている。


@だから明日もきょうも同じなんてことは、ありえない。


@現在がこんなだから、未来はこうなる、とは限らない。未来は現在とは違ってくるはずだ。未来がどうなるかなんて、それは君次第、私次第である。


@でも、未来をよりよくしたいなら、現在、今この時を、掛け替えのないこの時を、一瞬一瞬、手に包むように、いとおしむように、生きることだ。

@見通しが益々利かない混沌たる前途。明日は我が身の貧困格差。動乱の予感は常時して、町行く人々は経済崩壊の予兆に戦々恐々とするばかり。

@他の命をあやめる、忌むべき事柄は常に絶えず起これり。自他を問わず、命は重きもの、儚きものと、毛筋ほども思わず、ただとどまらざる利己の暴走するに随いて、他者をあやめてまで、生きていこうとするものの何と多き事か。


@経済が全てを救ってくれると思ったら…それは錯誤と言うものだ。経済は暮らしを潤す為には大切なれど、そればかりに眼が向きすぎるのは、如何なものか。


@我々が生きるこの世界は、経済のみにて成立せず。是当然の事実なり。経済と効率をとおとぶ主義が家の中まで入りこみ、子供が思い通りに育たないと、悩んだ末に、子供を苦しめ、挙句に死に追いやる。


@呪わしいカオスの中で変わり行く世界。崩れていく既成の観念、常識、通念、エトセトラ。


@求められる者は、人間の内なる力を引き出す事が出来る人間哲学か。…人の内面の、奥底の、希望の火種に火を灯す、松明の如き愛の哲理か。

@世は無常に混沌として流転してすでに久し。私はただ、其のカオスの中に、眼を見開いて浮かんでいる。

巨大文明のパーツ [詩的散文]

@アスファルトでガチガチに、固められてつくられた、道路をたっくさんの、いろんなかたちをした車が走っています。


@工場では、工作機械が唸りをあげ、製造ラインが川のように流れ、その上を作りかけの製品たちが規則正しく並んで、流されていきます。


@ハッとするほど美しい女性のように綺麗なビルの中では、スマートなパーソナルコンピュータが、タイピングの音も軽やかに、膨大な量のデータを処理していきます。



@車に乗ってハンドルを回して運転しているのは、人間です。

@工場で機械を動かしているのも、人間です。

@美女のように綺麗なビルの中で、パソコンを操作しているのも、人間なのです。


@けれども――彼等は “人間” ではありません。

@人間の形をしてはいるが、人間らしい、鋭いほどの知性の煌きと、そして生き生きとした、命の輝いて、はね躍るさまは、まず見られません
  (彼等の眼をじっと見つめると、死んだ魚の眼のように、まるで生気が感じられないのです)

@“人間” でない、とすれば、彼等は、いったい何なのだろうか…? そのとき。


@空から、眼には見えないが、翼のふたつ生えた、不思議な猿が飛んできて、私の肩にとまりました。そして…耳先で、こう囁いたのです。

 「あれは、みんな “パーツ” だ」

@瞬間、私の全身は…硬いかたい、石になりました。


パーツ! 部品! …そうなのです。車を動かしているのは、工場で機械を動かしているのは、ビルの中でパソコンを操作しているのは、…みんな、みんな、人の形をしたパーツ。


@この、異様にハイパーな、進歩し果てた複雑多岐で、何処か不気味な、硬質な、現代文明とネーミングされた怪物を構成している、

“とりかえのきくパーツ…部品” なのです。 こわれてしまえば、何時でも捨てられてしまう “部品” なのです。


@この部品たちが、自分達の中の、長く強く封印された魂の躍動を、外界へと解き放つ時、怪物のあまりにも巨大で堅固な身体はミリミリとひび割れはじめ、ほどなくバワンと砕け散り。

@その時、社会は、世界は大きく、激しく、変わっていくことでしょう。

(2008/09/04)




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近くしか見ていない私達。 [詩的散文]

@“現代しか見ていない人は近眼と同じである”――アインシュタイン


@私達は、“近眼”になってはいないか?キチンと、遠くを見ているか?…少なくとも私は、目の前に無数に転がっている、様々なロゴス(言葉)やヴィジョン(映像)で彩られた、空間にバラバラと無数に散らばる「情報」の欠片に気を取られ、その鮮やかな、刺激的な姿しか目にしようとしてないか…?


@現代という世界のその向こうに、時と共に、異次元の彼方に流れていってしまった、セピア色に変わっている、沢山の“過去”に眼を凝らしているか…?


@人生という道程に、幾つも怪しい姿で横たわる、難しい課題を避けて通ろうとしてないか?


@難題を避けて通るような人生は、私になにも深く豊かなものはもたらすまい。


@我が視線のはるか遠くに、幾つも転がる難題を受け入れ、乗り越える人生を歩もう。常に遠くの過去に眼を凝らし、ついでに耳をすましておこう。

@世間でいう、単なる「世渡り上手」には、絶対になりたくない。


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時代の激動に翻弄される人々 [詩的散文]

@時代の激動に翻弄され、人生の道程を狂わされた人々。

@その屍は、時間という名の流れに潜む、眼に見えぬ次元のエアポケットに無数に眠り続けている。


@流れ行く時の合間に巻き起こる、嵐の如き、激動。歴史の暗黒と光明。


@その光と陰とが渦巻く動乱に、足をすくわれ、叶えたい本当の夢を失い、失望と絶望の果てに彼岸へと辿り着かざるを得なかった、数多の人々。

@遠いいにしえの王国の時代から、初めて核兵器が使われた戦争の時代、そして一見平和に見える今。

@その人達の声を、言葉を、今は聴くこと、知ることはない。


@されど、悠久なる時の流れは、深い悲しみを抱いてなくなった彼等をも、やがて暖かく包みこみ、安らかにしてくれるであろう。

仕事・しごと・シゴト! [詩的散文]

@仕事、仕事、仕事。世間はまことに仕事で溢れている。

@都内一等地の、上等なインテリジェントビルのオフィスで、
PCに向かって懸命にキイを打ち込み仕事するハイクラスのオフィサー。

@瀟洒なストリートで、高級ブティックを開き、お客に最新モードのアドヴァイスする
世界的なファッションデザイナー。

@場末の繁華街で、酔っ払いサラリーマンに向かって呼びかけている
キャバレーの店員。

@カップルや家族連れで賑う公園で、捨てられた空き缶を拾って、
業者に交換してもらい、その日の生活費にしている、ホームレスのおじさん。

@仕事、仕事、仕事。社会はまことに仕事に溢れている。

@日雇いとして雇われ、そこそこの賃金をもらい、夜は流行りのネットカフェに
寝泊まりしている、中年フリーター。

@その中で、最早これ以上生活はよくなる事はないと、将来に悲観を抱き、
この世から自分でオサラバしていく人も多い。

@創造力を競うアートの現場の最前線に立ち、新しいモノを生み出すべく
命を削る、気鋭のクリエイター。

@大自然と宇宙の真理を追究すべく、日々研究と思索を続ける
聡明で叡智に満ちた学識者。

@内乱、飢饉、貧困に喘ぐ、世界じゅうの大多数の人々から
生きる意欲と勇気を引き出すべく、あらゆる手を尽くす、
世界平和のために行動する人。

@クリック一つで、町の小さな会社から世界的な原油、食糧の先物相場まで、
グローバルなデカさで大きく動かし、今の経済を牛耳っている大物トレーダー。

@仕事、仕事、仕事…嗚呼、世界は仕事に溢れかえっている。

@どんな仕事をやるにも、ズルは禁物。誠を尽くして取り組めば、
その仕事は私の血肉となり、私をこの社会に生きさせる。

@…私の仕事? 私は、皆に喜んでもらえるように、環境を整える
“クリーンな”仕事をしています。
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連休最終日。 [詩的散文]

@やっと連休最終日になって、空は綺麗に晴れ渡った。肉眼では、この青空は何時までも透き通った青に見える。本当は大気圏のヴェールの所為で、太陽の光が乱反射するので、空が青く見えるのだ。

@大気圏を突き抜けたその向こうに、137億光年もの長い時間をかけて生成された「宇宙空間」の、ほんの一部が垣間見える。

@気の遠くなる如く、遠く、大きく、限りがなくだだっ広い、数多の星々に満たされた空間。しかしその空間は真空で、マイナス100℃台以下の温度だという。丸裸で放り出されたら、確実に死ぬ。(←あたりまえだろ。だから宇宙服は必要なんだよ!)

@でも…私達の見ている“宇宙”とは、実は我が地球のある太陽系を含む、“銀河系宇宙”のことにすぎない。それでもその銀河から見れば、素粒子の如き大きさしかない私達人類は、宇宙空間の、無限の広がりを、夢想する事が出来るのだ。


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